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日経平均株価上昇は「バブル」なのか?~業種別格差から見る日本経済~

日経平均株価上昇は一律の底上げか?
6月に入って、日経平均株価には不安定な動き
がみられます。
今までも「株価上昇にはバブル的な感じがす
る」という話をよく耳にしてきました。
そこで、実情を見るためにすべての業種の株
価が上がっていたかどうかを調べてみました。
結論から言うと、すべての業種の株価が上が
っている訳ではありませんでした。
業種によっては下落している分野もあったの
です。
本日は、この株価上昇の裏側にある「業種別
のばらつき」をデータから詳しく紐解いてい
きましょう。

日経平均株価上昇は「バブル」なのか?
業種別格差から見る日本経済
【株価上昇の二極化と「ばらつき」の実態】
日経平均株価がここ数年で3万円→4万円→
5万円→6万円台後半へと駆け上がっていく中
で、世間では「バブルではないか」という警
戒感が根強くあります。
しかし、直近データ(日経平均株価が5万円
を超えた直後の2025年10月末と、66,329円
に達した2026年5月末の比較)を詳細に検証
すると、約半年(7か月間)で時価総額が205
兆円ほど増価した一方、その中身には極端な
「二極化」が生じていることが分かります。
特定のAI・半導体関連への極端な集中
時価総額の増価分のうち、実に43%は「電気
機器」(+87兆円)が占めていました。
これは、AI関連と呼ばれる特定の銘柄の株価
上昇によるものと推察され、市場を牽引する
主因となっています。
さらに意外なのは、本丸である電気機器
(+43.6%)以上の著しい伸びを見せている
周辺業種があることです。
銅価格の上昇を受けていると推察される「非
鉄金属」は+93.4%、半導体の絶縁体に使わ
れるガラス繊維の供給企業の存在が背景にあ
るとみられる「ガラス・土石製品」は+62.2%
の伸びを記録しています。
半導体市場の周辺にある小さな市場で、より
強い追い風が吹いていることが窺えます。
原油高に苦しむ下落業種と横ばい業種
市場全体が上昇局面にあるにもかかわらず、
全33業種の中で5業種の時価総額が減少して
いるという事実は、見落とされがちですが非
常に重要です。
具体的には、輸送用機械、ゴム製品、その他
製品、陸運、情報・通信の5つが下落してい
ます。
これらの多くは、地政学リスク(イラン攻撃
等)に伴う原油高でダメージを受けている業
種です。
例えばゴム製品は、石油由来の合成ゴムを扱
っているためコスト高が直撃します。
また、ほとんど時価総額が横ばいのものには、
鉄鋼(0.6%)、空運(1.2%)、サービス
(2.6%)があります。
航空や旅行・宿泊サービスも原油高のダメー
ジが大きいと考えれば、この停滞にも納得が
いくでしょう。
金利上昇の恩恵を受ける金融セクター
AIや半導体以外に、現在の株価上昇を支えて
いる大きな柱が金融分野です。
具体的には、銀行業が+39.0%、保険業が
+24.2%、その他金融が27.2%の伸びを見せ
ています。
これらは、国内の長期金利が上昇したことで
運用収入が増えていることが明確な追い風に
なっていると考えられます。
その他にも、鉱業(+27.9%)、化学(+27
.8%)、石油・石炭(+25.7%)、卸売(+
24.2%)などが上昇しており、現在の株価上
昇は「半導体需要」と「金利上昇メリット」
という明確なマクロ経済のテーマに沿って動
いていることが分かります。
データから読み解く
日本経済の現在地
「世間が言うバブル」という言葉のイメージ
と、実際のデータが示す細部には大きな乖離
があります。
個別株をよく取引している方であれば、下落
している業種が複数あることを見て「そう言
えば」と思い当たる節があるかもしれません。
【一律の底上げではない「歪み」のある上昇】
かつてのバブル経済のように、すべての資産
や業種が一律に買い進められる現象とは異な
り、現在の局面は「銘柄による株価変動のば
らつき」が非常に大きいという特徴がありま
す。
時価総額が全体で205兆円増えていても、マ
イナスや横ばいの業種がこれだけ存在すると
いう事実は、日本経済全体が満遍なく好調な
わけではないことを示しています。
特定のテーマ(AI・半導体・金利上昇)を持
つセクターへ資金が極端に集中する、「歪み」
を内包した上昇と言えます。
【業績の好不調と地政学リスクの偏在】
この業種別格差は、現在の日本経済における
「企業の業績格差」と「世界的な地政学リス
クの偏り」を鮮明に映し出しています。
世界的な半導体需要や金利環境の変化という
国策級の追い風を味方にできる強者と、イラ
ン情勢等による原油高のコスト増に喘ぐ実需
・製造業(ゴム、陸運、空運など)の明暗が、
これ以上ない形で株価に表れているのです。
【結論:「神は細部に宿る」が示す見方】
昔、ドイツの建築家が語ったとされる「神は
細部に宿る」という言葉があります。
日経平均株価が「6万円台」という表面的な数
字や「バブル」という一言だけで片付けてし
まうと、経済の本質を見誤ります。
株価変動の細部(業種別のばらつき)を調べ
ていくと、日本経済で今何が起こっているの
か、どこにリスクと機会があるのかがよく見
えてきます。
「株価上昇のバブル的なところ」は一部のAI
関連銘柄が極端に上がっているだけであり、
幅広い業種を調べれば、そこには地政学リス
クの偏在と、業績の好不調という冷徹な現実
が横たわっているのです。

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